ワンポイント

腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症を治療する新しい脊椎内視鏡手術手技 UBE(Unilateral Biportal Endoscopy)脊椎内視鏡について、その特徴と利点をわかりやすく解説

UBEとは

UBEは脊椎(背骨)の病気を治療する為の新しい脊椎内視鏡手術方法です。

この方法は患者さんへの身体的負担(手術による切開、剥離などの侵襲)を減らし、入院期間の短縮、早期の術後回復を目指し近年、アジア(韓国、台湾、インド、日本)を中心に発展している最新の脊椎内視鏡手技方法です。

UBE脊椎内視鏡の目的

1. 患者さんの体への負担の軽減
従来の手技法(顕微鏡手術)は約5㎝の皮膚切開および病変(脊髄神経硬膜)までの靭帯、筋肉の剥離、一部除去を行い治療していましたが、UBE脊椎内視鏡では約1.0㎝と1.0㎝の2つの皮膚切開のみで、一方からUBE脊椎内視鏡を病変まで直接挿入し、また、他方から手術に必要な道具(鉗子など)を病変まで直接挿入して、手術を行います。したがって、従来の手技法(顕微鏡手術)のときのような、顕微鏡の光(視野)を確保するための靭帯、筋肉の剥離、一部の除去が不要となります。つまり、UBE脊椎内視鏡手術は小さな皮膚切開で行うことができるので、その分、体への負担が大幅に少なくなります。

2. より正確な治療ができる
UBE脊椎内視鏡は、高解像度の内視鏡カメラかつ、30度斜視鏡という広い視野を有するカメラを使って細かい部分まで、広く視野を確認できるので、病変(脊髄神経硬膜、およびその周辺)の場所を正確に確認して、手術治療をすることが可能となります。

3. 早期社会復帰が期待出来る
手術の傷が小さいため、患者さんは早く日常生活に戻ることができます。
具体的には、腰椎椎間板ヘルニアでは3~5日間、腰部脊柱管狭窄症では5~7日間くらいでの入院期間となることが多いです。従来の顕微鏡手術に比して、短縮できています。
(ただし、既往歴や高齢などの全身状態により、入院期間は変更となることがあります。)

UBE脊椎内視鏡手術の利点

1. 体への負担が少ない
小さな切開で手術をする為、手術後の痛みや出血のリスクが少なく安全性が高いです。

2. 正確な治療部位へのアプローチ
内視鏡カメラで手術中に治療部位を詳しく確認しながら進めることが出来ます。

(UBE脊椎内視鏡手術では、神経硬膜を非常に鮮明に見ることができます(従来の顕微鏡手術とは解像度がまったく異なります。)

3. 腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症に非常に効果的
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症(背骨の神経等が通るトンネルが狭くなる病気)等、従来の顕微鏡手術治療に比して、多くの利点を持つ、新しい脊椎内視鏡手術です。

UBE脊椎内視鏡手術は主に以下の流れで進められます。

1. 麻酔(全身麻酔)をかける
手術中に痛みを感じないようにします。

2. 内視鏡を使って治療部位を見る
小さな切開創から内視鏡を入れて治療部位を詳しく観察します。

3. 疾患部を治療する
内視鏡と専門の治療機材を使い、病変のある部位(腰椎椎間板ヘルニアなど)を取り除いたり修復したりします。

4. 治療が終わったら脊髄神経を確認する
手術が終わったら、UBE脊椎内視鏡で治療が正確に行われたかを脊髄神経硬膜の状態を確認します。

注意点>

UBE脊椎内視鏡手術は優れた手術方法ですが、いくつか注意点があります。
★正確な診断を受けたうえで、この手術方法が適しているのかをUBE脊椎内視鏡手術の経験の豊富な医師と相談すること
★UBE脊椎内視鏡手術の経験豊富な医師による手術を受けることで、よりよい結果が期待できます。
★手術後のリハビリをきちんと行うことで回復がさらにスムーズになります。長期間にわたり、脊髄神経を圧迫され、症状がでている場合には、感覚障害、運動障害が一部残存する場合があり、それらに対して、術後リハビリテーション加療を受けることをおすすめします。

※UBE脊椎内視鏡手術は近年盛んになってきた最新の手技法である為、研修を修了している医師にしか行えません。
現在、UBE脊椎内視鏡手術を行う医師にインタビューをしました。
(大阪暁明館病院 脳神経外科 脊椎脊髄センター 医長 森脇 崇 医師
外来:毎週火曜日(終日) 
関連病院外勤先 毎週金曜日(午後) 大阪中央病院脳外科脊椎外来)

御興味のある方は以下のページも御覧ください。

森脇医師の紹介ページ
https://www.kansetsu-itai.com/doctor/doc352.php

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